4K/UHDとは―第1章「4Kとは?」

第1章はシンプルに「4Kとは?」です。
世間では、知らなきゃ罪のように「4K」という言葉をよく耳にしますが、どれだけの人が説明できるでしょうか。

メディアにあふれる4Kの話題はどれも難解・・・
そこで、少しでも分かり易く「4Kって何?」をご説明できないかと、我らがオーエスマーケティングDiv.にまとめてもらいました。

「4Kってナニ?」

テレビは走査線で絵を作ってる!
テレビ放送は、一度に一画面を送れないので、画面を横切る線を一本ずつ順番に送って、あたかも一つの画面のように見せているのです。その線を「走査線」と言います。
一昔前のテレビ受像機は走査線の数が480本でした。その後ハイビジョン放送HDで720本、フルハイビジョンFHDで1080本となり、2018年12月からはそれが2160本の4Kになりました。
K=1000、じゃあ2Kじゃないかと言われそうですが、FHDの横のドット(画素)の数は1920で、4Kは3840なのです。横のドットの数を約4000(4K)と言う訳です。FHDを2Kという言い方もあります。
FHDは1920×1080=2,073,600、4Kは3840×2160=8,294,400実に4倍もの画素の密度が濃くなっているという訳です。画素の密度を「解像度」と言います。

同じ原理です!!

解像度をもっと簡単に理解する方法があります。印刷を見てみましょう。
新聞と雑誌のプロジェクターの写真を2.5×2.5cmに切り取り、ルーペで覗いたものです。
雑誌はカラーという点を差し引いても、それ以上にドット(点)の密度が高く、解像度が高い絵はきれいであることがわかります。ぜひルーペで覗いて見てください。

「4Kの種類」
4Kと言われているものは2種類あります。「4K UHD」と「DCI-4K」です。

「4K UHD」は、主にテレビ放送、テレビ受像機向けの4K規格として、正式に国際電気通信連合(ITU)のもとで規定されました。
フルHDの縦横2倍、3840×2160ピクセルがUltraHDとして規定され、一般的にUHDと表記されています。
フルHDが207万画素に対し、UHDは約4倍の829万画素あります。
ロゴはこの企画をクリアした映像機器に使用が認められたCTA(Consumer Technology Association)の正式ロゴです。

「DCI(Digital Cinema Initiatives)」は、米国ハリウッドの7大メジャースタジオにより設立された会社の略です。
つまりハリウッドの定めた規格です。
デジタルシネマの規格で、アスペクト比は横4096×縦2160ピクセル(アスペクト比/ 1.90:1)

では、どちらが良いのでしょうか?

どちらとも言えないのが現状です。「4K UHD」は家電と電気の業界なので、再生機コンテンツはほとんどが16:9です。
映画の製作者側に立つのが「DCI-4K」ですが、民間会社の規格です。

なぜ「4K UHD」と「DCI-4K」の二つの規格が生まれたの?
「実はもともと4Kなどという規格はない」

4Kとは通称です。正しくは縦×横解像度・フレーム数・色域による「BT.2020」が基になる規格です。
下の図は一般的に色域図(しきいきず)と言います。馬蹄型の全域が自然界のすべての色の範囲を表します。正式には「XY色度図」と言い、CIE(国際照明委員会)の定めた色の表し方です。

縦軸「y」は数値が大きいほど緑の比率が増し、横軸「x」の値が大きくなるほど赤みが増します。
x,yともに丁度0.33の交点部分が白色点になります。
黒い線で囲まれた三角形の内側が「BT.2020」の範囲です。
参考に白い線で囲まれた三角形の内側は「BT.709」の範囲でSDR(フルHD)の色域です。

「BT2020とは?」

BTとはBroadcasting Service Televisionの略、BTが規定した2020番目の国際規格という意味です。
前の色域図でわかるようにBT.2020はBT.709よりもはるかに豊かな色域を示しています。
BT.709は自然界の色の74.4%の再現と言われることから、BT.2020がはるかに広い色域であることがわかります。

4KとはBT.2020で規定されている放送のための手段

ディスプレイの画素数(ピクセル)を増やしたり、アスペクト比を変えたり、フレームレート(※1)、プログレッシブ(※2)等様々な新技術投入がされています。
その中で最も理解しやすいのが解像度を表す「4K」「8K」という単語だったわけです。

※1 フレームレート 1秒間に何回画面を切り替えるか。昔のフィルム映画は24コマ。
※2 プログレッシブ 1フレーム内の走査を分割せずに、一括して放映する方法(間引きしない方法)

<BT.2020を実現しているディスプレイはない>
非常に広い色域の規格であるBT.2020は、ディスプレイ各社が実用化の直前と言われています。
しかし、プロジェクターに関してはまだ実現するまでには時間を要する段階です。

「Rec.2020」と「BT2020」は何が違うの?

「Rec.2020」のRecとは、ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)が定めた色域・ガンマを再現できるHDTV向けのスタジオ規格のことです。
現行のテレビ放送はRec.709(1990年制定)の色域を基準としています。しかし2012年にRec.2020が制定され、さらに広域の色域に取り組んでいます。

「BT2020」のBTとは、前に書いた通りBroadcasting Service Televisionの略、BTが規定した2020番目の国際規格という意味です。
高精細テレビ(HDTV)やブルーレイディスクの映像が満たすべき仕様についての国際規格として、1990年Rec.709の制定と同時にBT.709が規定されました。

BT.2020はRec2020と同時に、番組制作ならびに国際番組交換に用いるUHDTVシステムのパラメータとして策定され、画面のアスペクト比、画素数はいわゆる8Kまたは4K、走査はプログレッシブ、三原色は広色域対応、将来HDR-TVに用いられる特性に拡張出来ること、ビット深度(※3)は10あるいは12ビット、輝度、色差信号など細かな規定がなされています。

※3 ビット深度 1ピクセルあたりのデータ量。ここで言うビットは音声とは異なり、色深度とも言う。

このように、RecとBTは非常に密接な関係にあり、簡単に理解するならば、Recは色域の規定、BTはその手段という事になります。

(オーエスマーケティングDiv.)


濃ゆい内容でしたが、少しはご理解いただけましたでしょうか。
次回は「4Kプロジェクターの種類(方式)」についてご紹介いたします。

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